小嶋由利香よりご挨拶

 

私の弟は、19歳の誕生日を迎える前日、18歳の若さでこの世を去りました。
まさか自分の弟が、こんなに早く亡くなるなんて考えた事などありませんでした。

お葬式の最中、遺体を目の前にし、頭では理解しているけれど
なぜかとても客観的にその場に立ってる自分が居て、
両親、祖父母を見ながら、
“どうしてこの人達にこんなに辛い悲しみを神様で味あわすのだろう?”
“一体なぜこの家族に突然辛い試練を与えるのだろうか?”
と、どこか他人行儀に、まるでドラマでも見ているかの様な、
そして自分もそのドラマにキャスティングさせられてしまった様な…
妙な感覚だったのを覚えています。

「今、弟は何をしているんだろう?」
もちろん考えます。
お寺の住職さんに聞いたりしました。
スピリチュアルな本もたくさん読みました。
ですが正直、死んだ経験のない私には死後の世界は分かりません。
本当に天国はあるのか?
魂の世界は存在するのか?
いや、死後の世界など存在せず、この世が全てだ!という考えの人も居ます。
けれど私は信じています。
いつか私がこの世での役目を終えた時、
「おねえ、久しぶり!」と照れくさそうな表情の弟が、私を迎えに来てくれる事を…

弟の死後、何度か人に言われた事があります。
「もっと悲しんでいて元気が無いと思ったから心配したよ。でもそんな事なさそうで良かった」と。
今でも私は、弟が亡くなってしまった‥というより、
旅に出てしばらくの間会えないだけ。
その旅が普通の旅より少し長く、遠いだけ。
そんな風に考えているので、皆がイメージする、'悲しみに明け暮れている遺族'とは
少し違っていたのかもしれません。
実際には、ただ単に現実を受け入れられず、
この様な考えに辿り着いただけなのかもしれませんが…

私は、数十年後久しぶりに弟と再会する時までに
彼の分まで色々な経験や感動を積んで、弟に沢山の事を語れる、誇れる人生を歩んで行きたい。
そう思ってます。
今回のCDは、そんな今の自分の想いを込めて作りました。
最愛の人を亡くした方の想いは様々だと思いますが、
私と同じ様な境遇の方々に聴いて頂ければ幸いです。

 

小嶋 由利香

 

 

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